綺麗だと心奪われた光
あの日の自分は
自分が光だと気づくこともなく
ただただ光を見つめ
光に恋をしていた
あの日の自分に
あなたも光だと伝えたら
どんな顔をするだろう
信じてくれない気がした
光を夢見たあの日の自分が
自分の光に気づくまで
寂しそうな背中を
優しく見守ろうか
手に持つ線香花火と
彼女の間にある隔たりは
深く深く
まるで別の世界みたいに
光は弾ける
心を閉ざした人形は
いつだって光を見つめていた
自分と反対の世界に光を置いて
光を見つめていた
「こんなに美しい光が消えるなんて
もったいない」
「生きたい人がいなくなって
こんな私が生きてるなんて申し訳ない」
あの日の自分は
何も知らなかった
この世界のことも
自分の光も
夢の中で溢れた
一雫の真実
零れ落ちた滴の煌めきを
忘れられないまま
目を開けた
懐かしい
けど覚えていない
その心の違和感を解きたくて
思わずその滴に
手を伸ばしてしまった
その先で
蘇る記憶と共に
彼女はこの世界から醒めた
光は光として生まれるから
光なのだと思っていた
生み出された時から
光と闇の
運命は決まっていて
与えられた運命を
生き続けるのだと思っていた
でも
誰しも光で
光として生まれ
ただ光だった
光に恋した彼女は
いつしか自分がその光だと気づく
いつしか誰もが
自分が光だと気づく
消えないでと願っても
必ず落ちて消える光を
残念そうに見つめる
あの日の彼女は
自分が永遠の光だと
まだ知らない
届かない声で
あの日の自分の
寂しそうな背中に伝えた
恋したどの光よりも
心を奪ったどんな光よりも
あなたは美しい光
永遠に輝く
あなたは光
光を目指し降りた地上で
ただ光を探していた
どれだけ強がっても
やっぱり光を
探してしまった
隣には行けない
そう言い聞かせながら
それでも恋する
ひまわりのように