砂漠が砂漠の姿をしているのなら
ここは砂漠だと気付いただろう
でも 彼女は知った
この世界にある砂漠は仮面を被っている
繁栄という仮面を被っている
見せかけの豊かさに誤魔化された
砂漠の中で
砂漠だと気づかないまま
どうしてこんなに
喉が渇くのかすらわからない
少しの心の違和感とともに
まだ足りないと
水を求めて走り回った
ヘトヘトになって
「もう疲れた」
そう言って
全てを諦め目を閉じると
彼女の中から水が溢れた
彼女がずっと
探し回っていた水は
生まれた時から
心の中にあった
その水は飲んでも飲んでも
なくならない
それどころか
湧き上がる水に
彼女が追いつかない
外に溢れたその水を
お気に入りの瓶に詰めて
空に吹きかけた
もう十分だと
空に届けたはずなのに
吹きかけた水は
必ず彼女にもかかった
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飲んでも飲んでも
喉が乾くのは
喉を潤すものを
外側に求めているからかもしれません
あなたの喉を潤すものは
あなたの外側にはなく
ただ一人あなたが持っています
あなたの愛が
湧き上がる時
あなたの喉は永遠に潤います
歌ってください
あなたの愛を
聞かせてください
あなたの愛を
私はあなたの愛が聞きたいです
あなたは何色の愛を歌うのですか
あなたを愛しています