複雑に入り混じっているように
見えたこの世界は
あまりにもシンプルで
いつも通りの道なのに
いつも通りの世界なのに
落ち着きなく
あたりを見回してしまうのは
いつも通りの奇跡に
気づけたから
「いつも通り」
そんな日常が輝き出してしまうから
そんな日常に散らばる奇跡の中で
当たり前などない世界で
彼女は今日も夢を見る
毎朝太陽が昇る理由
それは
世界の秘密の扉
突然開いた
その扉は
何も変わらず
全てを変えるように
ただ心の中の
捉え方だけを
ひねって
動かす
ただそれだけで
世界は変わらず
心は弾む
光の中で
囀る何気ない声のように
当たり前を演じる
愛が
きっと何より
深い気がして
確かめるように
見つめた太陽は
何も言わなかった
この世界に
当たり前に広がる
「そんなもの」に
奇跡を見れば
いつだって
ただ奇跡しかない中で
歌う鶯
自然に合わせ
眠り目覚めた
そんなものを
抱きしめて
そんなものだけを
抱きしめていても
誰に褒められることも
ないけれど
そんなものを
抱きしめて
そんなものだけを
抱きしめて
何も持たず
ただ全てを持って
静かに
ただ花になることが
幸せだった
意味はなかった
だけど
それだけで
よかった
流れる桜に身を任せ
共に流れ
空へ散る
そんな風に
ただ息をして
そんな風に
ただ生きることが
幸せだった
意味はなかった
だけど
それだけで
よかった
「 もう
愛だけでよかった 」
流れる世界で
彼女の心は
春に染まり
彼女の瞳は
奇跡に溢れ
涙で滲んだ
そんな彼女を
風が桜と共に包み込む
「 愛の中
流れるあなたは
あまりに自然だ 」
当たり前のように
生まれ
そして
全てが当たり前のように
世界を見つめた
奇跡の夢の住人は
生まれ
咲き
散っていく
そんな当たり前のような
繰り返しの中で
束の間を彩る
花になる
いつしか
宇宙を彩る
星になる
風は
桜を包み踊る
そんな風に全てを委ね
地上から手を離し
愛はただ
愛になる
それだけでよかった
意味はなかった
意味などいらなかった
幸せだった
もう
愛だけでいい
彼女は歌う
歌い続ける
優しい温度で
微笑む空と
手を繋ぎ
弾ける
幻想の中で
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この世界で
目を開けた瞬間から夢は始まる
毎日この世界を照らしながら
当たり前の光を演じながら
彼はずっと
待っているのかもしれない
奇跡の夢の住人が
この世界の秘密に
気づく日を
